当院の成人矯正の診療方針

本来、成人においては、矯正のみで完了するということは非常に困難であります。そもそも成人の方は咬み合わせの不調和、異常な咬耗を起しているケースが非常に多く、歯列不正が原因により、不適切に治療した部位も多くなっています。

咬耗の激しい部位や損傷の多い部分を矯正治療でそのまま咬ませるようにしてしまうと、エナメル質を失っている範囲が多いので、その部位はさらに咬耗が進みます。象牙質は咬耗にとても弱く、その部分はさらにどんどんと咬み合わせが崩れていきます。

咬耗についてはこちらでも詳しく解説しています

成人矯正は、一般歯科→矯正専門医へ

ですから成人矯正は、術前に一般歯科医師によって、各々の歯のコンディション、歯周病、咬合、顎関節、その他等を診査した上で矯正専門医へ紹介することが理想的です。成人矯正の場合、矯正医から「矯正が完了しました」と一般歯科に患者さんが戻ってくるケースは実はよくありません。まず一般歯科で診断してもらってから「矯正が必要かどうか?」…さらに総合的な判断をしてから矯正専門医へ行ってほしいのです。

主治医は生涯にわたって患者さんの口腔内を維持管理していく一般歯科医(GP)で、矯正治療を矯正の先生にお願いする立場にあるのです。どちらが上とかではなく同等の立場で連携する必要があります。

一般的には、矯正の先生は複雑なカリエス(虫歯)・ペリオ(歯周病)の診断は診断しません。またより精密なメンテナンスは我々が行うことと考えま。例えば矯正期間中に歯周病が異常に進んでしまったり、虫歯が多発してしまったりと、そのような成人の患者さんを今まで我々は山のように経験してきております。ですので、それらの責任の所在をはっきりとさせていかないと一番は患者さんにとっても良くないので、その実情を我々は強く訴えたいのです。

矯正治療が必要かどうかの判断を誰がするか

矯正治療だけで歯の移動に無理がある場合、無理やり動かせばいったんは歯は動くかもしれません。一般的に成人は歯が動きにくい傾向にあり、非常に時間を要してしまいます。また無理な力をかけ続けることによって、歯根や歯槽骨に大きなダメージを与えてしまうことも多いのです。従って、そのあたりの限界を知ることが非常に大事なので「この辺まだ動かしてもらいたい」「この辺までは無理なので動かすのはやめておきましょう」といった判断を、誰かがしないといけません

一般歯科医が総合的な診断の元、判断をすることが重要かと思います。見た目はキレイに並んでいるかもしれないが、今後何十年も使っていく歯がそのように壊れてしまっては困るのです。ですので我々一般歯科医がしっかり診る必要があるのです。

歯質と歯根を守ることを前提に、接着修復との連携

では歯が動かない場合(スペース的に動かせない場合)、どうするか。その場合は無理せずに、歯根を守ることを前提に矯正治療を考えるべきです。

術前にそのことが分かっていれば、修復スペースを確保した状態を目標に矯正治療をすることが可能です。結果的に歯を温存しつつ、咬耗などで失ったスペースを回復します。特に成人で咬耗しているケースはこれ以上削らずに修復することが可能となります。この連携が出来ないと、トータルで泣きをみるのは患者さんです。

修復を前提として矯正治療を行ったほうが、咬み合わせの安定、歯質の温存、歯周組織の保全、等、非常に良好な経過をたどることが多いです。

世界基準の矯正治療を

日本人の口腔内は歯列不正が非常に多く、歯科治療が複雑で治療結果が長期間安定しないことが多いのが実情です。矯正治療で並んでいるにもかかわらず、正常に咬めてないというケースや後戻りをしているケース等を非常に多く見てきています。正常に噛めるようにしてあげることが我々の仕事だと思いますので、ぜひこの辺りは、矯正の先生としっかり連携を取りたいと考えております。

歯並びでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

①出っ歯(上顎前突)症例

上顎前突の症例01

出っ歯、いわゆる上顎前突のケースです。矯正治療とセラミック修復をいたしました。出っ歯に加え、下顎が全体的に削れ、犬歯も無くなっている状態でした。歯ぐきの高さ(青いラインの箇所)もまばらになっています。矯正治療終了後、ラミネートべニアによる犬歯ガイドも作成し、顎を動かした際は犬歯がひっかかって奥歯がすいている状態、横にずらしたときにラミネートべニアによる犬歯ガイドにより正常な咬み合わせの状態にを獲得できました。

正面術前

術前

正面術後

術後

右側術前

術前

右側術後

術後

左側術前

術前

左側術後

術後

上顎術前

術前

上顎術後

術後

下顎術前

術前

下顎術後

術後

診断法「ナイトガードで憶えていた咬み合わせをキャンセル」

歯科

術前の噛んだ状態です。不正咬合のため、歯や顎関節に様々な問題が出てきます。

歯科

ナイトガードを一定期間就寝中に装着していただき、憶えていた咬み合わせをキャンセル(忘れ)させることができます

歯科

ナイトガードを取り外し後、改めてご本人に噛んでいただきます。咬み合わせが変り、正しい状態に。本人が噛みたい場所と正常に噛める場所は違います。

上顎前突02:出っ歯を矯正とセラミック修復で改善

出っ歯をワイヤー矯正とセラミック修復で改善したケースです。

上顎前突02上顎術前

術前

上顎前突02上顎術後

術後

上顎前突02正面術前

術前

上顎前突02正面術後

術後

上顎前突02下顎術前

術前

上顎前突02下顎術後

術後

その他、上顎前突の症例集はこちら

②受け口(下顎前突・反対咬合)症例

受け口1

受け口、いわゆる反対咬合のケースです。一般的には外科手術が必要なケースでしたが、当院では一般矯正とセラミック修復のみで対応いたしました。

正面術前

術前

正面術後

術後

上顎術前

術前

上顎術後

術後

下顎術前

術前

下顎術後

術後

受け口2

下顎前歯を矯正し、上顎はフルインプラント、下顎の臼歯がインプラント、その他はオールセラミックスで対応したケースです。

正面術前

術前

正面術後

術後

上顎術前

術前

上顎術後

術後

下顎術前

術前

下顎術後

術後

その他、受け口(反対咬合)の症例集はこちら

③叢生(乱ぐい歯)症例

叢生01

叢生、いわゆる前歯がでこぼこ・がたがたしたケースです。矯正治療に加え、奥歯はテーブルトップオンレー、前歯はダイレクトボンディングなどの修復治療を行っております。

正面術前

術前

正面術後

術後

上顎術前

術前

上顎術後

術後

下顎術前

術前

下顎術後

術後

叢生02

歯のでこぼこ(叢生)のケースです。全顎の矯正治療を行った際に、犬歯がない場所にもラミネートべニア修復で犬歯を作り、正常な咬み合わせを構築しております。

叢生上顎術前

術前

叢生上顎術後

術後

叢生正面術前

術前

叢生正面術後

術後

叢生下顎術前

術前

叢生下顎術後

術後

その他、叢生(乱杭歯)の症例集はこちら

④外科矯正症例

外科矯正01:開咬・受け口

前歯が噛んでおらず、受け口の傾向にもあるケースです。外科矯正後、当院で矯正治療を行いました。

正面術前

術前

正面術後

術後

上顎術前

術前

上顎術後

術後

下顎術前

術前

下顎術後

術後

外科矯正02:開咬・受け口・叢生

叢生(がたがた・でこぼこ)、前歯が噛んでおらず、受け口の傾向にもあるケースです。外科矯正後、当院で矯正治療を行いました。

正面術前

術前

正面術後

術後

上顎術前

術前

上顎術後

術後

下顎術前

術前

下顎術後

術後

⑤開咬(オープンバイト)症例

開咬01

奥歯が高く、前歯が低い噛み合わせで開咬(オープンバイト)が起きていたケースで、出っ歯(上顎前突)の傾向にもあり日常生活にもかなり支障が出ていました。本来は事前に顎を切る外科矯正が必要な難症例ケースでしたが、患者様のご希望もあり外科矯正はせず、ワイヤーによる一般矯正と修復技術のみで、矯正用インプラントを使って奥歯を沈めて低くしていき、上下前歯を近づけていきました。患者様の頑張りもあり、時間はかかりましたが足りない部分はセラミックス修復で全体の噛み合わせのバランスを整え、審美的にもキレイに治療が完了しました。

上顎j術前

術前

上顎術後

術後

上顎術前
上顎術中
上顎術後
正面術前
正面術中
正面術後
下顎術前
下顎術中
下顎術後
右側術前

術前

右側術後

術後

左側術前

術前

左側術後

術後

開咬02

下顎だけ外科矯正を行い開咬・受け口の症状を改善したケースです。ワイヤー矯正に加え、セラミック修復も行っております。

開咬上顎術前

術前

開咬上顎術後

術後

開咬正面術前

術前

開咬正面術後

術後

開咬下顎術前

術前

開咬下顎術後

術後

その他、開咬の症例集はこちら

⑥過蓋咬合(咬み合わせが深すぎる)症例

過蓋咬合01

咬み合わせが深すぎて、下顎の前歯が見えていなかったいわゆる過蓋咬合の症例です。矯正後+修復も兼ねて治したフルマウスケースです。歯並びもでこぼこ、がたがたと全体的に矯正が必要でした。治療期間はすごく要しましたが、こういうケースこそ、きちんと治療に向き合わないといけないと考えます。歯の軸を変える咬合治療も併せて行っております。

正面術前

術前

正面術後

術後

右側術前

術前

右側術後

術後

左側術前

術前

左側術後

術後

上顎術前

術前

上顎術後

術後

下顎術前

術前

下顎術後

術後

過蓋咬合02

上顎

上顎術前

術前

上顎術中

術中

上顎術中

術中

上顎術後

術後

正面

正面術前

術前

正面術中

術中

正面術中

術中

正面術後

術後

下顎

下顎術前

術前

下顎術中

術中

下顎術中

術中

下顎術後

術後

レントゲン

レントゲン術前

術前

レントゲン術後

術後

  • 右上第一大臼歯(左側に見える奥から3番目)は保存不可能だったため抜歯。そのスペースを第二大臼歯(奥から2番目)と第三大臼歯(一番奥の親知らず)を前に移動させることで噛み合わせました。
  • 左上第二大臼歯(右側に見える一番奥)は埋まっている第三大臼歯(親知らず)に侵食されて歯根吸収が起こっているため抜歯。無傷の親知らずを引っ張って噛み合わせました。
  • 左下第二大臼歯(右側に見える一番奥)は上と同様で埋まっている第三大臼歯(親知らず)に侵食されて歯根吸収が起こっているため抜歯。無傷の親知らずを引っ張って噛み合わせました。
  • 右下第二大臼歯(右側に見える奥から2番目)は虫歯で保存不可能だったため抜歯。そのスペースを第3大臼歯(一番奥の親知らず)と第1大臼歯(奥から3番目)をそれぞれ寄せていくことで噛み合わせました。

以上を全体のバランスと過蓋咬合を矯正で改善しながら、形の不正な歯はセラミック修復で噛み合わせを整えました。親知らずの抜歯と移植など、非常に難症例ケースでしたが、歯を失った部分はインプラントを使うことなく自分の歯28本で噛める様になりました。

その他、過蓋咬合の症例集はこちら

⑦すきっ歯(空隙歯列)

症例01:すきっ歯(空隙歯列)を矯正+ラミネートベニア修復で改善

すきっ歯の正常被蓋ケース。全体的なすき間を均一にし、修復しやすいようにワイヤー矯正で移動、その後、ダイレクトボンディングやラミネートべニアで修復を行いました。

すきっ歯上顎術前

術前

すきっ歯上顎術後

術後

すきっ歯正面術前

術前

すきっ歯正面術後

術後

すきっ歯下顎術前

術前

すきっ歯下顎術後

術後

症例02:すきっ歯、臼歯の鋏状咬合を非抜歯矯正+ラミネートべニアで改善

正常被蓋ですきっ歯、臼歯の鋏状咬合だったケースです。非抜歯矯正+ラミネートべニアによる修復で改善しました。鋏状(はさみじょう)咬合は「シザースバイト」とも呼ばれ、上下の歯がすれ違うような噛み合わせのことです。

すきっ歯上顎術前

術前

すきっ歯上顎術後

術後

すきっ歯正面術前

術前

すきっ歯正面術後

術後

すきっ歯下顎術前

術前

すきっ歯下顎術後

術後

その他、鋏状咬合の症例集はこちら

矯正主導による弊害ケース

非抜歯に囚われすぎて、前歯が口から飛び出した状態(口ゴボ)

他院で矯正が終了した直後のケースで、リテーナーは入ってはいますが、口元が全体的に出ている(口ゴボ)の状態で、患者さんは満足されていませんでした。歯自体も長くなり、アーチも歪んでいました。矯正主導による弊害のケースです。矯正のやり直しに加え、修復治療も行い、口元の出っ張りも改善いたしました。

口ゴボ上顎術前
口ゴボ上顎術中
口ゴボ上顎術後
口ゴボ前歯術前
口ゴボ前歯術中
口ゴボ前歯術後
口ゴボ下顎術前
口ゴボ下顎術中
口ゴボ下顎術後
口ゴボレントゲン
口ゴボ
口ゴボが改善Eライン
矯正後口元

他院で矯正が終わったが開咬になっているため、奥歯に負担がかかっていたケース

他院で矯正が終わった状態の失敗症例です。下から前歯を見ると、前歯が当たっていない状態です。この状態は最も危ないケースの一つです。患者さんは噛んでると思っていますが、実は奥歯にものすごく負担がかかっています。ですのでこの場合、矯正医がカウンセリングの際に「前歯が当たらなくなるかもしれないから、一般歯科できちんと修復治療をしましょうね」と言わなければいけなかったと思います。多くの矯正の先生が「並んでいる」と思うケース。しかし私たち一般歯科医師からすると「咬んでいない」と診断するケースです。

開咬
開咬上顎
開咬前歯
開咬右側
開咬前歯
開咬左側
開咬右側
開咬下顎
開咬左側

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